出展:https://www.nttdata-strategy.com/knowledge/ncom-survey/260114/
論旨
- AI普及の決定的障壁は「技術」ではなく「心理的安全性」: 消費者がAIサービスを選択する際、多機能性や先進性よりも「利用料金の妥当性」「使いやすさ」「プライバシー保護」を重視している。特にデータの削除権が明示されれば約8割が利用を許容するなど、不透明なデータ転用への不安解消が普及の絶対条件となっている。
- 「擬人化・キャラ付け」によるエラー許容度の向上: AIの誤回答や期待外れの挙動に対し、キャラクター性を持たせることで約半数のユーザーの寛容度が向上する。ただし、口調については9割以上が「丁寧な敬語・ビジネス口調」を支持しており、親しみやすさと礼節の両立が求められている。
- AIによる意思決定への強い抵抗感: 単純作業の指示は46%が受け入れる一方で、重要な意思決定(合否判断や高額決裁)の指示を受け入れられる層は16.3%に留まる。消費者はAIを「指示者」ではなく、あくまで人間の判断を支える「裏方(選択肢の提示役)」として位置づけている。
解説
解釈
「AIの社会実装は、技術的マイルストーンから『トラスト(信頼)のデザイン』のフェーズへ移行した」
本レポートが示唆しているのは、AIが「魔法の杖」として称賛される時代は終わり、実用的な「生活インフラ」として厳格な選別眼に晒されているという冷厳な事実です。消費者はAIの推論能力の高さ以上に、自分のデータがどう扱われ、いかに制御可能(コントロール可能)であるかを注視しています。
コンサルの観点から言えば、今後のAI戦略はアルゴリズムの精度を競う「エンジニアリング」の領域から、ユーザーが安心して身を委ねられる「ガバナンスとUXの融合」へと主戦場が移ります。特に「キャラ付け」がエラーの寛容度を上げるという事実は、AIの不確実性を技術でゼロにするのではなく、コミュニケーション設計(人間中心設計)によってビジネスリスクをヘッジできる可能性を示しています。AIを「全知全能の神」のように振る舞わせるのではなく、誠実で透明性の高い「有能な助手」として再定義できるかどうかが、企業の命運を分けるでしょう。
活用シーンのイメージ
本資料は以下の様な活用が想起できます。
- 次世代B2Cサービス開発プロジェクト: ユーザーに受け入れられるAIチャネルの「人格(ペルソナ)定義」および「UI/UXプロトタイプ」の策定。
- データガバナンス・規約改定支援: 「データ削除権」を前面に出したプライバシーポリシーの策定を通じた、ユーザー獲得率(コンバージョン)の改善。
- AI導入におけるチェンジマネジメント: 現場職員がAIからの指示を拒絶しないよう、AIを「指示主体」ではなく「意思決定支援ツール」として定着させるための業務フロー設計。
- DX戦略・新規事業立案: 顧客体験(CX)において、どの業務ドメインをAIに代替させ、どのドメインを人間に残すべきかの「聖域」の切り分け判断。
- リスクマネジメント・広報戦略: AIが誤回答(ハルシネーション等)を起こした際の炎上リスクを抑えるための、キャラクター戦略を用いた「期待値コントロール」の設計。
調査概要
| 項目 | 内容 | 備考 |
| 資料名 | AI活用を前提としたサービスにおける消費者意識に関する調査 | 「NTTコム リサーチ」との共同調査 |
| 発行者 | 株式会社NTTデータ経営研究所 | ソーシャル・デジタル戦略ユニット |
| 発行年月日 | 2026年1月14日 | 調査期間:2025年10月14日~27日 |
| URL | https://www.nttdata-strategy.com/knowledge/ncom-survey/260114/ | 有効回答者数:1,036人 |

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